ちょっと前だが、防火関係の研修で秋葉原にある消防施設に赴いた。上の写真は、その帰りに購入した自分へのアキバ土産。
秋葉原の地を踏んだのは、この時が初めて。私のオタク指数は、せいぜい中野ブロードウェイのレベル? 噂に聞くメイド嬢達が、あちらこちらでチラシを配っていた。せっかくなので写真撮影して、ここに貼り付けたかったが、女王様に豹変されてトラブルになるのも恐ろしいので、やめておいた。
アキバ土産に話を戻すと、写真はゴジラの息子ミニラのソフビ。もちろん当時のオリジナルではなく、復刻版。オリジナルは数万円というバカバカしい額で取引されているが、こちらは2千円でお釣がくる。
これらの怪獣ソフビは、私の幼い頃、60年代後半から70年代半ばにかけての怪獣ブームを担う主力商品。男の子なら誰でも何匹かは持っていたはず。私だって4、5匹持っていたが、周囲の子供達の中では少ない方。たいていは10~20匹以上のコレクションを誇り、厳選した自慢の怪獣を引き連れて、お互いの家や公園の砂場、銭湯を行き来した。
上のミニラは他のものに比べて形状が小さく、その皮膚の色もスクリーン上の「実物」のグレーではなくグリーン。親の七光りに胡坐をかいた、強そうでも可愛くもない少々気持ち悪いだけのシロモノで、当時は人気のないソフビのひとつだったと記憶している。どうせ親にねだって買ってもらうなら、もっと魅力的な怪獣を選んだ。
でも、大人になった今、ビニール袋に封入されてショップの店頭にぶら下がったミニラの姿を見かけたら、怪獣らしいパワーの無さに慰めと親しみが感じられ、グリーンの地肌にメタリックブルーを吹き付けた鮮やかな色合いと、細部のグロテスクな造形とのアンバランスさに不思議とそそられた。白目の部分の塗装がはみ出していて、いじめられて涙目になったチビ太みたい。当時の怪獣ソフビ全般に言えるのだが、着ぐるみのリアルな再現を第一とする現在の怪獣フィギュアと違い、デフォルメの効いた造形の妙が特徴。美大出であろう原型師が怪獣を素材として存分に腕を振るったアバンギャルドなアート感覚と、子供向け玩具の愛らしさを保とうとする義務感との微妙な均衡が楽しい。
そして、何よりもその匂い。塩化ビニール独特の臭気と言ってしまえばそれまでだが、懐かしい少年の日々へとタイムスリップさせる匂い。怪獣ソフビは言葉に尽くせぬノスタルジーを喚起させてくれる。追憶の領域に置かれた夢見るオブジェ。
数体の復刻版ソフビを所有しているが、大人になって空想力が減退した身には、それらで遊ぶという行為がかなわない。ときめく思いは買って持ち帰った瞬間に失せ、後はクローゼットの片隅で埃を被って転がっているだけ。このミニラも、目に涙を湛えたまま同じ運命をたどるのだろう。
最近のコメント