少女の髪どめ
この日記も散歩ネタになると、途端にアクセス数が落ちる。映画館のHPという役割上、閑人の逍遥談義なぞ求められていないのだろう。
だが、私の場合は映画と散歩は不可分の関係。かつては見知らぬ場末の映画館を訪れた帰りは、スクリーンの感動を反芻しながらの街歩きを楽しんだ。それらがどこもかしこも壊滅してしまった現在、映画&散歩のセットメニューも成り立たなくなったが、せめて職場たる映画館への出勤前の束の間を、散策にいそしむことはできる。
それに今は樹々の葉が色づく時節。小春日和も続いている。出勤前に休日に、せっせと一年の有終の美に寄り添わねばもったいないではないか。
この日は神宮外苑の銀杏並木を歩いてみたが、距離にして200mにも満たない短さ。しかも午前中なのに凄い人の出。観光バスまで停まっていた。
すっかり興ざめして、お隣の新宿御苑まで出向いたら、有料(大人200円)ということもあってか、閑静な風情。枯れ始めたプラタナスの並木が美しい。金髪の外国人カップルの姿もあって、フランス映画のワンシーンにトリップしたみたい。
麗らかな初冬の陽射しを浴びて、広大な庭園を回游した。落ち葉を踏みしだく乾いた音が、耳に心地良い。「都会のオアシス」という月並みな表現が、今更ながら思い浮かぶ。
疲れてベンチに憩えば、誰かが忘れたのであろう、四葉のクロ-バーの飾りの付いた髪どめが置かれていた。取り上げて陽光にかざすと、淡いグリーンがキラキラ反射して、痛いくらいに眼を射った。可憐な四枚の葉は、ハッピーエンドで閉じる映画のストーリーのささやかな萌芽のようだった。



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